刑務所と免除
投稿者: majinglang
(2017/03/08 19:00)
[国民年金法]
平成21年 国民年金法 問7 肢E
【第1号被保険者の国民年金保険料に関して】
刑務所で服役していることを事由として、保険料が法定免除の対象になることはない。
答えは○(この肢は正しい)
この問題を解くたび、苦い思いにかられる。
あるとき、窓口に手続きに訪れた年配の男性。
調べたら、すでに50代後半なのに、年金加入歴は真っ白だった。
聞けば、ずっと刑務所にいたと言う。
今から加入しても、老後の年金は絶望的だったが、
障害基礎年金の受給権の可能性まで奪う訳にはいかないので、
とりあえず加入手続きをとってもらい、
保険料は免除申請を出してもらった。
しかし、当時保険料の免除は申請した月の前月分からしかできなかった。
それより前の、過去2年以内の分は、社会保険庁(当時)から
納付書が発送されてしまう旨説明した。
払ったところで、将来年金はもらえない。
しかし、私の立場上は、払ってくださいとしか言えない。
苦い、記憶だ。
収監中の国保の保険料は負担しなくてよかった(私のいた自治体ではの話だ。他の市町村は知らネ)
しかし、国年は上記の通り、免除にならない。
普通に納付書が発行されてしまう。
そして、収監中だった場合たいてい「宛所に尋ねありません」と戻ってくる。
しかし、たまに転送されることがあって、
納付書といっしょに入れておいた免除申請書が
刑務所から戻ってくることがある。
ハンコはないのか、拇印をおしてある。
理由欄には「収監中なので」とある。
翌年は、もう最初から住所地には納付書を送らず、
刑務所に免除申請書の白紙を送ったものだ。
住民票とは異なる住所に送付することになるので、
事務の手間は増えるのだが、
検認率(納付率)を上げるためには仕方ないと思ってやっていた。
当時私の担当地区には、そんな収監中の方が数人いた。
多分、本当はもっといたのだと思う。
ただ、保険料を家族がかわりに払っていれば分からないし、
誰も払う人がいなくて、未納で納付書が返戻されていても、
それっきり住所が分からないままになっていれば
私たちには分かりようがない。
いったい、収監中の人の国民年金の保険料はどうしたらよいのだ?
家族がかわりに納付する義務があると言っても、
天涯孤独な人はどうするのだ?
役所は、納付書が宛所に尋ねなく戻ってきたら、それで終わりでいいのか?
未納者は、無年金者の温床だ。
払えないなら、免除の申請を出せばいい。
収監中なら、たいていの人は免除になるのでは?
・・・悪いことをしたから刑務所に入っているのだ。ならば、そこまで親切にする必要はないのでは?という意見もあるかもしれない。
しかし、未納者はいずれ無年金者になり、
無年金者はいずれ生活保護にかかる可能性が高くなる。
そしたら、結局税金の無駄じゃないのか?
われわれの税金をそんな風に使っていいのか?
生活保護になりそうな可能性は、
分かっているなら早いうちに摘み取っておくべきではないのか?
という訳で、検認率を上げるという目的よりも
ただ無年金者を出したくないという理屈で、
私は納付者が返戻された人のいどこを徹底的に調べた。
例えば、戸籍。
住所と異なる戸籍だったら、めっけもの。
地図で調べて、人の住んでそうな番地だったら、
まず手紙を出してみる。
個人情報にひっかりそうなことは伏せて、
ただこの人と連絡をとりたいのだが、
行く先をしらないかと、
その番地に住んでいる方に問い合わせた。
(一応、言っておくが、人の戸籍を見るのは職権(根拠法:国民年金法)によるものであり、個人情報保護法にはひっかからないので、念のため。)
知らないと返ってくることが多かったし、
そもそも返事がないことの方がもっと多かったが、
まれに、どこそこの刑務所に入っていると
教えてくれる親戚の方からの手紙があったりもした。
すると早速、私はその刑務所にダメモトで免除申請書を送ってみた。
うまく免除申請書が返ってきたらめっけもの。
だめでも、その刑務所にはいないということが分かるだけの話だ。
あの男性のような、無年金者候補を少しでも減らしたい。
その一心だった。
【第1号被保険者の国民年金保険料に関して】
刑務所で服役していることを事由として、保険料が法定免除の対象になることはない。
答えは○(この肢は正しい)
この問題を解くたび、苦い思いにかられる。
あるとき、窓口に手続きに訪れた年配の男性。
調べたら、すでに50代後半なのに、年金加入歴は真っ白だった。
聞けば、ずっと刑務所にいたと言う。
今から加入しても、老後の年金は絶望的だったが、
障害基礎年金の受給権の可能性まで奪う訳にはいかないので、
とりあえず加入手続きをとってもらい、
保険料は免除申請を出してもらった。
しかし、当時保険料の免除は申請した月の前月分からしかできなかった。
それより前の、過去2年以内の分は、社会保険庁(当時)から
納付書が発送されてしまう旨説明した。
払ったところで、将来年金はもらえない。
しかし、私の立場上は、払ってくださいとしか言えない。
苦い、記憶だ。
収監中の国保の保険料は負担しなくてよかった(私のいた自治体ではの話だ。他の市町村は知らネ)
しかし、国年は上記の通り、免除にならない。
普通に納付書が発行されてしまう。
そして、収監中だった場合たいてい「宛所に尋ねありません」と戻ってくる。
しかし、たまに転送されることがあって、
納付書といっしょに入れておいた免除申請書が
刑務所から戻ってくることがある。
ハンコはないのか、拇印をおしてある。
理由欄には「収監中なので」とある。
翌年は、もう最初から住所地には納付書を送らず、
刑務所に免除申請書の白紙を送ったものだ。
住民票とは異なる住所に送付することになるので、
事務の手間は増えるのだが、
検認率(納付率)を上げるためには仕方ないと思ってやっていた。
当時私の担当地区には、そんな収監中の方が数人いた。
多分、本当はもっといたのだと思う。
ただ、保険料を家族がかわりに払っていれば分からないし、
誰も払う人がいなくて、未納で納付書が返戻されていても、
それっきり住所が分からないままになっていれば
私たちには分かりようがない。
いったい、収監中の人の国民年金の保険料はどうしたらよいのだ?
家族がかわりに納付する義務があると言っても、
天涯孤独な人はどうするのだ?
役所は、納付書が宛所に尋ねなく戻ってきたら、それで終わりでいいのか?
未納者は、無年金者の温床だ。
払えないなら、免除の申請を出せばいい。
収監中なら、たいていの人は免除になるのでは?
・・・悪いことをしたから刑務所に入っているのだ。ならば、そこまで親切にする必要はないのでは?という意見もあるかもしれない。
しかし、未納者はいずれ無年金者になり、
無年金者はいずれ生活保護にかかる可能性が高くなる。
そしたら、結局税金の無駄じゃないのか?
われわれの税金をそんな風に使っていいのか?
生活保護になりそうな可能性は、
分かっているなら早いうちに摘み取っておくべきではないのか?
という訳で、検認率を上げるという目的よりも
ただ無年金者を出したくないという理屈で、
私は納付者が返戻された人のいどこを徹底的に調べた。
例えば、戸籍。
住所と異なる戸籍だったら、めっけもの。
地図で調べて、人の住んでそうな番地だったら、
まず手紙を出してみる。
個人情報にひっかりそうなことは伏せて、
ただこの人と連絡をとりたいのだが、
行く先をしらないかと、
その番地に住んでいる方に問い合わせた。
(一応、言っておくが、人の戸籍を見るのは職権(根拠法:国民年金法)によるものであり、個人情報保護法にはひっかからないので、念のため。)
知らないと返ってくることが多かったし、
そもそも返事がないことの方がもっと多かったが、
まれに、どこそこの刑務所に入っていると
教えてくれる親戚の方からの手紙があったりもした。
すると早速、私はその刑務所にダメモトで免除申請書を送ってみた。
うまく免除申請書が返ってきたらめっけもの。
だめでも、その刑務所にはいないということが分かるだけの話だ。
あの男性のような、無年金者候補を少しでも減らしたい。
その一心だった。